冷徹王子の甘い笑顔
駅に着き、電車に乗って会場へ向かう。
向かうまでの間、緊張でおかしくなりそうだったけど、
皇坂くんが普段通りに話してくれたおかげで何とか落ち着いたまま会場に向かうことが出来た。
「着いた」
「すごい・・・ここが今日の会場なんだ」
皇坂くんが言っていたとおり大きな体育館だった。
会場に入ると応援に来た家族やお揃いのジャージを着た子たちがたくさんいた。
「すごいね」
「大きな大会でもあるから、出場する中学が多いんだよな」
「そうなんだ・・・」と言いながら皇坂くんの後ろをついて歩く。
てっきり中に入ったらすぐに試合がある体育館に行くと思っていたけど、
誰かを探しているのか会場に入ってからきょろきょろしていた。
「誰か探してるの?」
「あー、うん、そう」
「誰?」と聞こうと口を開きかけたとき
「麗!」
遠くから皇坂くんの名前を呼ぶ声が聞こえた。
2人で同じ方向を見る。
「あ、槻二」
「悪い、遅くなった」
「忙しい時にごめん」
「いいよ。それで?そちらにいる女の子は?」
皇坂くんと親しげに話をしていた男性が私を見る。
「燈真のお姉ちゃん」
「あ、そうなのか」
「君が」と言いながらニコッと微笑まれた。