冷徹王子の甘い笑顔
「初めまして、黒田槻二(くろだ つきじ)です。」

いかにもスポーツマンという体つきが印象的だが
雰囲気は柔らかく感じた。

「あ、逢原弥兎(あいはら みつ)です」

軽くペコっとお辞儀をする。

「そんなに緊張しなくていいよ」

そう言って「がははっ」と笑う黒田さん。
怖そうに見えるけどすごく優しい人かもしれない。

「燈真の中学の非常勤教師として働いていて、バスケ部のコーチ。
それで俺の幼馴染」

皇坂くんは笑っている黒田さんを横目で見つつ、私にそう紹介した。

「え!そうだったんですか!?
弟がお世話になっていますっ」

ガバっと頭を下げる。
突然の出来事に黒田さんは驚いたのか「え!」という声が聞こえた。

「先生だったんですね」

頭を上げながら恐る恐る黒田さんを見た。
少し困った表情をしていたがすぐにニコッと微笑んだ。

「先生ではなくてコーチだから毎日いるわけじゃないんだ
週に2回くらいしか部活には顔を出してないよ」

「そうなんですね」

「そうそう。だからそんなに畏まらなくていいから気楽に、ね?」

太陽みたいに笑う人だなと思った。
その笑顔に私もつられて「はいっ」と笑った。
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