冷徹王子の甘い笑顔
ここで燈真のチームのコーチがタイムをとった。
選手たちがコーチのそばに駆け寄る。

「あ、黒田さん」

険しい顔をした黒田さんの姿が見えた。
何かを伝えているようだったが最後はあの太陽みたいな笑顔で選手たちをコートに送り出した。

「もっと近くで見よう」

皇坂くんはそう言うと立ち上がり、場所を移動した。
移動している間も試合から目を離すことなくじっと見ていた。

ザシュッ

またしても相手チームがシュートを決めた。
燈真のチームも食らいつくが点差が開いたまま、第1Qが終了した。

第2Qが始まるまでの間、燈真の表情は暗く
先ほどまでの明るさがなくなっていた。
他の選手が声をかけるもどこか落ち着きがないようだった。

その姿を見て不安になるもどうすることもできず、
「がんばれ」という気持ちを送り続けることしか出来なった。

そして始まった第2Q。
少し休憩したのもあり、燈真のチームに活気が戻った。

シュートこそ決まらないがパスは綺麗に繋がっていく。
後はシュートが決まれば・・。

燈真もボールをもつこともあれば、シュートを打つこともあった。
だけど、相手チームに阻止され思うようにプレーが出来ていなかった。
もどかしさがあるのか表情には少し苛立ちや焦りも見える。

「燈真、頑張れ」

祈るように燈真の姿を目で追う。
一生懸命、相手チームに食らいつきチャンスを伺うが中々その時が来ない。
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