冷徹王子の甘い笑顔


ピーッ!

試合終了の笛が鳴った。

結果は惜しくも相手チームに届かず、初戦敗退だった。

「「ありがとうございました」」

お互いに挨拶を交わし、
息を切らしながらベンチに戻ってくる選手に私は拍手を送った。

その拍手は瞬く間に広がり、燈真のチームへと送られた。
黒田先生を含め、選手のみんなが応援席に一礼をした。
燈真たちが体育館を後にすると応援席にいた人たちも少しずつ帰って行った。

「燈真、すごかったな」

「うん、すごかった」

私と皇坂くんもあの後すぐに応援席を離れ燈真たちがいる場所へと行ったが、
込み入った話しもあるだろうと思い、会場の外で燈真を待つことにした。

近くにあったベンチに座り、燈真のことを話す。

「試合が始まったときと終わったときの燈真の顔つき、全然違ったね。
皇坂くんの言葉がきっと力になったんだよ」

「めちゃめちゃ緊張してたもんな、燈真らしいプレーが出来たみたいで安心した」

「皇坂くん、本当にありがとう」

改めてお礼を伝える。
皇坂くんがいなかったら燈真はきっとここまで来れなかったと思う。

「燈真がたくさん練習して自分であの場所を勝ち取ったんだ。
俺はほんの少し手伝っただけだよ」

「そーいうこと言うとまた燈真に怒られるよ」

「あ、そうだった」

「あははっ」と笑い合う。
この瞬間がすごく幸せで、ずっと続けばいいのにって思う。
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