触れたい、cross
私の隣に腰掛けた、伊織くん。


いまだに、上半身ハダカの、まま。


「服、着ないの?」


んー、暑いから。オレ、上になり下になり、頑張ったんでー。


なんていつもの、ぶっきらぼうな、口調。


私と同様に、カップを持ち上げて、ふーふーと、執拗にコーヒーに息を吹き掛けている。


伊織くんは極度の猫舌なのだ。


やがて、諦めたように、ローテーブルにカップを置いた伊織くんを、横目で眺める。


「氷、持ってこようか?」


んー、海乃さんとおんなじの、飲みたいから、いー。


ゆるく、首を横に降ってみせた。






< 14 / 108 >

この作品をシェア

pagetop