触れたい、cross
「…おー、降ってきたねぇー」


少し、開けていた窓からは、ぬるい雨のにおいがしだした。


雨を含んだ、ぬるい風が、伊織くんの素肌をなぞってゆく。


鎖骨に絡まって、うねうねとカタチを変えている、ゴールドのチェーン。


そのトップ。には。


意地悪く、ゆるく、光を集めて輝く、ゴールドのクロスが揺れている。


神さまに、赦してもらえるはずが。ない。


こんなに正しくない、ふたり。


…どこまで、ゆける…?


どこまで、ゆく気、だろうか…



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