触れたい、cross
ざーざー、と、耳に入る、雨の音。


前髪を伝って、雨粒が頬を流れてゆく。


カラダに貼り付くシャツが、気持ち悪い。


早く、室内に入りたい。


思いながら、足早に歩く。


…と、ふいに背中で、カラカラとドアベルが鳴る音がする。


こんな雨の中だから、もう少しゆっくりすればいいのに。


せっかく、雨粒を防げる場所があるのだ。


…私と、違って。


…惨めすぎる、な…


うつむきながら、ひたすらにただ、歩き続ける。






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