触れたい、cross
外観と同じで、良くいえばレトロな、つまりは古くさい店内。


年季が入った、花柄のソファーや、透明な薄茶いろのシャンデリア。


きょろきょろと見回していたら。


「…古くさい店っすよね」


タオルを右手に持った、彼が言った。


「…いえ、そんな、こと…」


「オレもそー思ってるんで」


言いながら、私にタオルを手渡してくれる。


彼の前髪からも雫が、垂れていて。


「…あ、あの、あなたが拭いたほうが」


「いや、あなたのほーが、びしょびしょなんで」


軽く押し返したタオルを、押し返される。








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