触れたい、cross
「…なーに、考えてんのー?」


長い、目の縁までの前髪。


緩くパーマがかかった、襟足。


シルバーに近い、金髪。


長い前髪はきっと、目の色を隠して本心を悟られないようにするため、だ。


「…なんに、も…」


「嘘つけ」


秒速で、返される。


凍えるような、冷たさ、で。


自分の本心は隠すくせに。


私が嘘をつくのは決して、赦さないのだ。


そういう、男、なのだ。







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