触れたい、cross
「家、どこっすか?」


私の真横を歩く彼が、私に問いかける。


スーツケースを引いているとはいえ、長身のカラダでは、女性の平均身長にすら達していない、私の歩幅に合わせるのは、意識しないと出来ないだろうに。


ぴたり、と合わさる、歩幅。


なんだか、こーゆーの、久しぶりだなぁ。


思って。


『こーゆーの』なんて、完全に彼の口調が移っている。


なんて、重ねて、思ったり。






< 41 / 97 >

この作品をシェア

pagetop