触れたい、cross
「…家…、」


「うん。家」


私のコトバに、繰り返した彼のコトバが響いた。


「…あの、実はまだ、行ったことがなくて…」


「…行ったことがない、とは…?」


…あの…、間取り図だけで部屋を決めて。だから今日、初めて、で…


……、まじ…?


前髪に隠れた両瞳が、一瞬、丸くなって。


不覚にも、どきん。と、する。









< 42 / 97 >

この作品をシェア

pagetop