触れたい、cross
「…ん…?」


その横顔が、ふいに、私の方へ向けられて。


雨に濡れたビニール傘越し。


ゆるい日差しが、雨粒の陰を、彼の頬に作っている。


「…あ、ありがたいな、と、思って」


素直なココロの声が漏れた、私に。


「そー?そりゃ、良かったっす」


ふわり。


笑ってみせた。



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