触れたい、cross
「そー言えば、名前は?」


唐突に問われて。


…だか、ら…、あまりにも唐突すぎた、から。


「…あっ、と…たけだ…、じゃなくてッ…!や、山下、です」


シドロモドロで答える、も。


「…違うってー。名字なんかどーでもいーんすー。名前ー。下の」


怠そうに、返される。


「…あ、海乃、…です」


「…かの、さん」


私の名前を繰り返すくちびるを、無意識に見つめる。



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