触れたい、cross
「どんな漢字ー?」


再び問われて、…あ、海、と…、と、説明をする。


「キレー、っす。ね」


その横顔が、ふいに真っ直ぐに私を見つめるから。


「…ッ…、」


コトバにならない声が、喉から漏れる。


「キレイ」


繰り返して、口の端で、笑う。


反応に困っていたら。


「…ふふ。かーわい」


もしかして、照れてますー?


なんて、今度は、はっきりからかわれているのに。


なぜだか、嫌な気は、しない。






< 46 / 97 >

この作品をシェア

pagetop