触れたい、cross


口中をはい回る、人差しゆび。


「どしたー?ほら。ゆーこと聞かないんじゃ、気持ちよくしてやんねー、よー?」


耳の奥深くまで、入り込んでくる、声。


乱暴なコトバとはウラハラ、に。


その声音は、驚くほど、あまい。


気がつくと、そのゆび先に、舌を這わせている。


「…いいコ、いいコ。やればできんじゃーん?」


満足そうに、微笑むくちびる。


私を見下ろす目の色、は。


相変わらず、深く、暗い。



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