触れたい、cross
「…まじで…?」


「…うん…まじで…」


だって、何にもないっすよ?


がらん、とした室内をぐるり、と見渡して、伊織くんが目を丸くしている。


「…いや、ちょっとずつ、揃えていけばいいかな、って」


「…いやいや、ちょっとずつ、って…」


飯とかはどっか食べに行けばいーけど、今夜、どやって寝る気…?


「…あ…、適当に、薄いコートにくるまって…」


…どこで…?


…その辺の、床で…?


「……、」



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