触れたい、cross
「…だったら、良かったっ、す…」


なにもない部屋に、伊織くんの声が響く。


…とりあえず、今度はどっかビジネスホテルにでも泊まったほーが、いいっすよ?


言いながら、伊織くんがジーンズのポケットからスマホを取り出した。


「…え…?もしかして、ホテル、検索してくれてる…?」


「…え?そーっすけど」


私のため、に?


ええ。


「……、」


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