触れたい、cross
「…ウチ、来てもらってもいいんだけど、」


布団も余分にあるし。


伊織くんのそんな、コトバに。


「…いッ…?!いやいやいやいや…ッ…!そんなことッ…!!」


盛大に両手を振って、否定をすれば。


「…ふふ、さすがにそーっすよねー?」


ゆるやかに、笑ってみせた伊織くん。


ちょっと、待っててもらえますー?


言いながら、するり、と、玄関を出ていってしまう。


…まるでまるで、迷い込んできた、猫、みたい。だと、思った。









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