触れたい、cross
目を開けると、部屋の中は暗くなっていて。


カーテンすらかかっていない窓から、月明かりが射し込んでいる。


状況を把握するために、ゆっくりとまばたきをする。


…そうか。


少しだけ、休むつもりでいたのに、眠ってしまったんだな。


電気やガスや水道は、大家さんにお願いしていたから、電気は付くはずだ。


とりあえず、電気をつけよう。


思いながら、ゆっくりと立ち上がる。


…と、はらり、と、布が体から落ちて。


「…ブランケット…」


見たことがない、カーキ色のブランケットが畳に落ちた。


「…おはよ…、」


その声がしたほうへ、視線を向ける。



< 66 / 97 >

この作品をシェア

pagetop