触れたい、cross
その瞬間は、いっしゅん、で。


ふふ。


やわらかに笑った、伊織くん。


「サンドイッチとか、お茶とかテキトーに買ってきたから。良かったら、どうぞー」


コンビニのビニール袋を指差して、伊織くんが言う。


立ち上がった伊織くんが、


「電気、つけるねー」


電気のスイッチを押してくれて。


いっぱく遅れて、電気がついた。


月明かりに慣れていた目が、しぱしぱする。



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