触れたい、cross
「…ふふ。まぶしそー」


私の表情を見て、伊織くんがけらけらと、笑っている。


「じゃあ、電気もついたし、もう大丈夫?」


スイッチがついている壁に、肩を預けて立っている伊織くんを、見上げる。


「…あ…、ありが、とう…」


途切れ途切れの、私からのそんな“ありがとう“を聞いた伊織くん、は。


「…ふふ、とぎれとぎれー」


海乃さん、おもしろいひとだよねー。


またも、可笑しそうに、笑う。



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