触れたい、cross
来店を告げる、チャイムの音に反応して、『いらっしゃいませ』言いながら、顔をあげる。


「…おー、今日もそのペラペラの帽子、似合ってないっすねー」


ニヤニヤと笑いながら言う、伊織くんが立っている。


こうして、お店に来るたびに、


「挨拶、棒読みー」


とか。


「そのオレンジのエプロン、ちょーダセー」


とか。


いろんな言動で、私を茶化してくる、伊織くん。


「うるさいなー、もう!」


笑いながら返したら。


「さーせん」


言いながら、伊織くんが軽くアタマを下げる。


このやり取りも、毎回の、こと。








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