触れたい、cross
仕事を終えて、紙で出来た帽子と、エプロンを外してお店を出る。


オレンジ色の夕焼けを一身に浴びて、歩く。


なんだか、こんなことだけでも、『生きている』と、実感するな。


私の人生なんて、大したことないと思っていたけれど。


大したことないなりに、楽しい、かも。


最近はそんな風に思えて。


そんな風に思えるのはきっと、あの男のコのおかげだな。


考えていたら。


自然とスキップしそうになっている、自分自身に気がついて、苦笑い。


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