限界社畜ですが、この度やってることはブラックなのに超絶ホワイトな事務職に転職しました。

静まり返った薄暗いビルの中にジー…ジジ……と切れかけた非常口誘導灯の音が聞こえる。


ここで働きだして2年以上たつけど、いまだにこの何とも言えない深夜のビルの薄気味悪さには慣れない。幽霊とかそんなものは信じてないし、何なら生きてる人間が一番怖いと思っているけど、不気味なもは不気味だ。

不気味さをを振り払うように足早にエレベーターホールへと行き”上“のボタンを押す。しばらくすると、エレベーターの到着音が鳴って扉が開いた。
少し年季の入ったエレベーターに乗り込んでオフィスがある5階のボタンを押す。


ふと、違和感に気が付き背筋に寒いものが走る。


……このエレベーター、上から降りてこなかった?
この時間、このビルにいるのは私だけのはず。

そもそも、エレベーターは最後に停まった階にいるはずなのだ。ついさっき私がエレベーターで下に降りたのだから1階に停まっているはず。私以外に人がいたとしても金曜日のこの時間に出社してくる人はいない。もし、人がいたのだとしても退社する人だけだからエレベーターは1階に停まってないとおかしい。唯一、深夜でもいるだろう警備員はエレベーターを使わず階段を使う。





なのになんでエレベーターは上の階に停まっていた?

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