限界社畜ですが、この度やってることはブラックなのに超絶ホワイトな事務職に転職しました。

チンっと目的の階についたことを知らせる安っぽい音が鳴ると、エレベーターの扉が開く。真っ暗だろうと思っていた廊下は、オフィスから漏れるほのかな光で薄っすらと明るい。


……あれ?私電気消し忘れてた?
いやいや、そんなはずはない。しっかりと戸締りと消灯の確認をしてからオフィスを出た。
だったら警備員とか?警備の時って電気つけて見回る?懐中電灯であたりを照らしながら見回りしてなかった?


何となく、そう何となくだけど嫌な予感がした。
こういった直感的なものはよく当たるほうだ。……特に嫌な予感のほうが。


足音を立てないようにつま先でそろりそろりとあかりが漏れているオフィスへと近づくと、


ガシャンッ――……


「っ……」


突然、何かがぶつかるような大きな物音がした。
びっくりして出そうになった声をとっさに両手で口を塞いで我慢する。
スカートを履いているのも構わず、オフィスの入り口横の壁に背をつけるようにしゃがみ込んで耳を澄ませると、中から数人が何かを話している声が聞こえてくる。

泥棒とか?
いや、でもうちのオフィスに盗るものなんてないはず。


「――は、――で……だろ?」

「俺――……い!」


入り口から離れた場所で話しているのか、聞こえてくる声は途切れ途切れで何を話しているのか全然わかんらない。
ただ、一人だけ聞いたことのあるような声がするのは気のせいかな?


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