碧い夏の約束
《瞬side》
凛月が東京に帰ってから数日。長い夏休みが明けた。面倒な学校の2学期が幕を開けた。重い足取りで学校へ向かっていると、後ろから声をかけられた。
遥翔「おはよう、瞬!久しぶりだな!」
こんなに元気に俺を呼ぶのは遥翔くらいだ。
瞬「おはよう。あぁ、そうだな。」
遥翔「結局夏休み中は遊べなかったなぁ~。しかも会えなかったし…。」
遥翔はあからあさまに残念そうな視線を俺に向けた。
瞬「しょうがねぇだろ。休み合わなかったし。遊ぶのはまた別の機会な。」
遥翔「おう!その言葉を待ってたぜ!」
遥翔の笑顔を見た瞬間、なぜだか俺は壮大な違和感を覚えた。
瞬「遥翔、お前夏休み中に何かあったか?」
遥翔「え?う~ん…。特に何もなかったなぁ、ずっと部活だったし。何で?」
明らかに動揺しているが、遥翔は意地でも誤魔化したい様子だった。これ以上触れるなと、入ってくるなと一線を引かれた気がした。
瞬「いや、気のせいだったかも。」
俺がそう言うと、遥翔は安心したように一息ついて言葉を紡いだ。
遥翔「そうか!早く行こうぜ!」
遥翔は校門に向かって一直線に走り出した。やっぱり嘘が下手な奴だ。あれで誤魔化せたと思っているのだろうか。必ず吐かせてやる、俺はそう決意して走る遥翔を追った。
《遥翔side》
夏休みが明けて、学校へ足を進めると見慣れた背中が目に入る。俺はその背中をめがけて走り出し、声をかけた。
遥翔「おはよう、瞬!久しぶりだな!」
瞬「おはよう。あぁ、そうだな。」
瞬は相変わらず塩な返事をした。俺は構わず会話を続けた。
遥翔「結局夏休み中は遊べなかったなぁ~。しかも会えなかったし…。」
残念そうな視線を向けると、そっぽを向いたまま瞬は言った。
瞬「しょうがねぇだろ。休み合わなかったし。遊ぶのはまた別の機会な。」
遥翔「おう!その言葉を待ってたぜ!」
正直残念そうにすれば、瞬はそう言ってくれると思っていた。会話の流れで笑うと、瞬が露骨に顔を顰めた。そして俺にこう聞いた。
瞬「遥翔、お前夏休み中に何かあったか?」
紡がれた言葉は予想を軽々と超えるものだった。身体から嫌な汗が伝い、息をのんだ。何とかその場は乗り切ったが、おそらく疑われたままだ。瞬は俺が言いたくないのを察して、一回引いただけだ。
どんなに上手に隠しても、瞬には勘付かれてしまう。他の奴は騙せても、瞬にだけは通用しない。そうだとわかっていても、今回ばかりは瞬を頼るわけにはいかない。瞬は恩人なんだ。絶対巻き込みたくない。たとえ瞬がどんな手段を使ってきたとしても、話すつもりはない。
遥翔「ごめんな、瞬。今回ばかりは見逃してくれ。」
俺は校門に走りながら、ぼそっと呟いた。どうかバレませんように…。そんな願いを込めて。
しかし、俺のこの願いはある出来事をきっかけに潰えることとなる。
凛月が東京に帰ってから数日。長い夏休みが明けた。面倒な学校の2学期が幕を開けた。重い足取りで学校へ向かっていると、後ろから声をかけられた。
遥翔「おはよう、瞬!久しぶりだな!」
こんなに元気に俺を呼ぶのは遥翔くらいだ。
瞬「おはよう。あぁ、そうだな。」
遥翔「結局夏休み中は遊べなかったなぁ~。しかも会えなかったし…。」
遥翔はあからあさまに残念そうな視線を俺に向けた。
瞬「しょうがねぇだろ。休み合わなかったし。遊ぶのはまた別の機会な。」
遥翔「おう!その言葉を待ってたぜ!」
遥翔の笑顔を見た瞬間、なぜだか俺は壮大な違和感を覚えた。
瞬「遥翔、お前夏休み中に何かあったか?」
遥翔「え?う~ん…。特に何もなかったなぁ、ずっと部活だったし。何で?」
明らかに動揺しているが、遥翔は意地でも誤魔化したい様子だった。これ以上触れるなと、入ってくるなと一線を引かれた気がした。
瞬「いや、気のせいだったかも。」
俺がそう言うと、遥翔は安心したように一息ついて言葉を紡いだ。
遥翔「そうか!早く行こうぜ!」
遥翔は校門に向かって一直線に走り出した。やっぱり嘘が下手な奴だ。あれで誤魔化せたと思っているのだろうか。必ず吐かせてやる、俺はそう決意して走る遥翔を追った。
《遥翔side》
夏休みが明けて、学校へ足を進めると見慣れた背中が目に入る。俺はその背中をめがけて走り出し、声をかけた。
遥翔「おはよう、瞬!久しぶりだな!」
瞬「おはよう。あぁ、そうだな。」
瞬は相変わらず塩な返事をした。俺は構わず会話を続けた。
遥翔「結局夏休み中は遊べなかったなぁ~。しかも会えなかったし…。」
残念そうな視線を向けると、そっぽを向いたまま瞬は言った。
瞬「しょうがねぇだろ。休み合わなかったし。遊ぶのはまた別の機会な。」
遥翔「おう!その言葉を待ってたぜ!」
正直残念そうにすれば、瞬はそう言ってくれると思っていた。会話の流れで笑うと、瞬が露骨に顔を顰めた。そして俺にこう聞いた。
瞬「遥翔、お前夏休み中に何かあったか?」
紡がれた言葉は予想を軽々と超えるものだった。身体から嫌な汗が伝い、息をのんだ。何とかその場は乗り切ったが、おそらく疑われたままだ。瞬は俺が言いたくないのを察して、一回引いただけだ。
どんなに上手に隠しても、瞬には勘付かれてしまう。他の奴は騙せても、瞬にだけは通用しない。そうだとわかっていても、今回ばかりは瞬を頼るわけにはいかない。瞬は恩人なんだ。絶対巻き込みたくない。たとえ瞬がどんな手段を使ってきたとしても、話すつもりはない。
遥翔「ごめんな、瞬。今回ばかりは見逃してくれ。」
俺は校門に走りながら、ぼそっと呟いた。どうかバレませんように…。そんな願いを込めて。
しかし、俺のこの願いはある出来事をきっかけに潰えることとなる。