きみに恋した数ヶ月。〜君にさようならをする時〜
「愛。あれがあなたの好きな子?」


空翔が帰ったあと、お母さんにそう聞かれた。


「う、うん」


「そう、おめでとう」


「ありがとう」


「おやすみ」

「おやすみ」


そう言って、私は眠りについた。


「おはよう。今日は検査の日よね?」


「うん」


1ヶ月に1回の検査。はっきり言って嫌だ。


だって、MRI撮られるし。それで、入院するかしないかが決まる。ここのところ、体調が良いから腫瘍は大きくなっていないはず。


そう、願いたかった。


「愛ちゃん。1週間入院しようか」


担当の先生が、優しく言った。


「どう、して?」

「愛ちゃんの腫瘍がほんとにちょっと大きくなったんだ。今は、言語に支障や歩行には異常は見られない。でも、腫瘍は良性ではなく悪性だから進行スピードも速い。良性だったら緩やか何だけどね。とにかく、安全のためにっていうことで」


そんなの分かっている。でも、頭と身体が拒否していた。


私、このまま死んじゃうの?


「いゃぁぁぁぁ!」


私は、泣き叫んだ。だって、空翔に思いを伝えれずに死んでしまうだなんて。嫌だよ。



その後、水野さんに慰めてもらいながら病室へと向かった。


相変わらず殺風景な部屋。しかも、個室。余計静か。


「愛ちゃん、困ったことあったら言ってね」


そう言い、水野さんは病室を出ていった。

 
< 10 / 22 >

この作品をシェア

pagetop