きみに恋した数ヶ月。〜君にさようならをする時〜

空翔に私が下した一つの決断

「愛?起きてる?」


「ん?ぅぅ…」


身体を起こすと、激しい頭痛に襲われた。


「い、痛い…」


頭が割れそう…!あぁ!


「愛!?入るよ!」


バタンとドアの音をたて、私が身体をくねっているのをみると目を見開いた。


「愛!?大丈夫!?」


「頭、痛い…」


「ちょっと、待っててね!薬持ってくるから!」



お母さんは、そう言ってバタバタと音をたてながら薬を取りに行った。




「愛!薬!飲める?」


「あ、ありがとう…」


そう言って、薬を口に含み水で流し込んだ。





何分か経った後、痛みは引いてきた。



「愛?」


お父さんも、出勤前なはずなのに私の部屋に来た。



「あなた、病院行ったほうが良いわよね?」


「そうだな、俺も有給取る。行こう」


2人は、急いで荷物をまとめ、車に運んだ。



私は、お父さんにお姫様抱っこされ車に乗り込んだ。
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「愛?」


「麻優お姉ちゃん?」


亡くなったはずの麻優お姉ちゃんがいた。


「うん。愛、まだこっちに来ちゃ駄目。待ってるから」


そこで、私は夢から覚めた。


「愛?」


お父さんとお母さんの声だ。

「愛ちゃん、入院だよ」


次に来たのは、先生の声、だった。


「どう、して?」


「腫瘍が大きくなっているんだ。このままだと、言語などに支障が出てくるんだ」


え、つまりは余命が縮まった?


嫌だ、私はまだ死ねない。空翔とまだ感情を蘇らせられていない!



駄目。それまで、耐えて。おねがい、私の中にある身体(みんな)。




それから、私は入院することになった。



空翔と、美南はお見舞いに来てくれなんやかんや心配しているみたい。
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ある日の昼下がり。


夏休みに入ったからと毎日来てくれた。でも、私はもう1人で死んだほうが空翔は悲しまない。そう思い、私は言った。


「空翔。もう、お見舞い来ないで」


「な、何で?」


明らかに動揺していた。


「私ね、もう空翔に悲しんでほしくないんだ」


「でも!」


「やめておいた方がいいよ」


空翔が言う前に言ったら空翔は、悲しい顔を浮かべてしぶしぶというように頷いて、帰っていった。


誰もいない病室で一息ついた。


これで、良い。


なのに、なんでこんなにも胸がギリギリと痛むのだろうか。ひょっとして、私は本当は、空翔と一緒にいたいとか?


ありえない。自分から別れを告げたのに。でも、涙がとめどめなく落ちてくる。


まるで、映画に感動してボロボロ泣いているみたい。


「っ、」


本当は、もっと長生きしてたくさん笑いあいたかったんだ。でも、もう遅い。空翔に合わせる顔が、ない。


どうしよう。


このまま、空翔に気づかれぬまま死ぬのだろうか。


こんな私の疑問を壊したのは、他でもない空翔だった。

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