きみに恋した数ヶ月。〜君にさようならをする時〜
空翔side


愛が、倒れたとき俺は呼び起こしたくない記憶を呼び起こしてしまった。




キキィィー

ドンッー!


真夏の日だった。



俺には、双子の妹がいた。と言っても、顔立ちは似ていない。なぜなら、俺たちは稀な二卵性の双子として生まれてきた。


妹の名前は、空(そら)だった。母が空が好きというのと空のように伸び伸び過ごしてほしい、という意味で名付けられたそうだった。


母は、病弱な人だった。


幸い、俺は元気に産まれたが空は違った。病のせいで視力を失なってしまった。5歳で、世界が真っ暗になった空。でも、空は生きる希望を失わなかった。


そして、やってきてしまった13歳の夏。


空は、信号無視の車に撥ねられ即死した。


母は、顔が真っ白になってとてもじゃないくらいに憔悴していた。



仕事人間であった父も泣いていた。



その時からだった。


俺の感情が薄れていくのが分かった。



14になる頃には、もう何も感じなくなっていた。



母は、空が亡くなったあと心が壊れた。今は、精神科病院に入院中だ。


俺は、どうしたらいいと思っていたとき愛に出会った。


愛が病院に通っていることは母さんのお見舞いのときに知った。


似たような境遇の愛に会おうとした矢先だった。愛が自殺しようとしていた。止めに入ったおかげか助かった。その後、色々話をしたあと感情探しの手伝いの話を持ちかけた。最初は、渋っていたが諦めて「手伝う」と言ってくれた。


こうして、俺と愛とのや感情探しが始まった。
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