きみに恋した数ヶ月。〜君にさようならをする時〜
嬉しいと面白いと感謝を胸に
退院して、一週間が過ぎた。経過も良く、症状も遥かに落ち着いた。
今日から、学校だ。
「おはよう」
「おはよう、愛。体調は、どう?」
お母さんは、あれから私を結構心配しているみたい。かと言っても私がうざくならない程度に。
「大丈夫だよ!何か、気分がいいんだよね。どうしてかな?」
「ふふっ。何かいいことでもあったからじゃないのかしら?」
お母さんの瞳は、私の思いを見透かすようだった。
その通り、だった。私は、あのトゲトゲした性格の空翔に恋をした。一目惚れ、ってやつなんだと思う…。
「おはよう、愛。無理するんじゃないぞ」
お父さん。お父さんは、単身赴任をこの前まででしていたけれど私の病気が発覚してからは何かと家にいることが増えた。
「うん、ありがとう」
「行ってきまーす!」
「いってらっしゃーい」
「まーな!おはよ」
声をかけていたのは、大親友の梓川美南(あずさがわみな)だ。彼女とは、中学校で出会い仲良くなった。彼女は、私が病気を患っていると知っている。彼女は、何かと頼れる存在でいわゆる姉御肌タイプでもある。でも、意外に繊細で本人は気にしないふりをしようとしているけれど何気ない一言に深く傷ついているのも知っていた。
「おはよ、美南」
「ねぇ、体調は大丈夫?無理してない?」
美南の心配を無くすため、わざと明るい声を出して安心させた。私の声に、どこか腑に落ちないという顔をしつつも納得はしてくれた。
気がつくと、学校の正門の近くに人の群れがあった。それを、うまくよけようとしたとき思いも寄らない声が私の耳に届いた。
「ねぇ、空翔くんよ〜!!今日もかっこいい!私、空翔くんの彼女になりたいわ〜!!」
く、空翔って言った?
少し群れから外れたところに移動するとあの日出会った空翔、張本人だった。
マジで?空翔と同じ学校だったの?初耳何ですけど…。
「ねぇ、美南。あの、空翔って子前にもいた?」
「え!あの空翔くんを知らない人がいるの!?」
「ここにいますけど…」
「う〜ん、そうだね。ずっといたよ。なんかね、風の噂なんだけど彼、大切な人を失ってから自分の殻に閉じこもって感情を感じることが出来なくなった、っておんなじクラスの子から聞いたよ。でも、所詮噂出しね〜」
大切な人が、亡くなったから感情を感じることが出来なくなった?感情を感じることが出来なくなったのは知っているけれど…。大切な人って言うことはよほどのショックを受けたのだろうな。
そんなことを思いながら教室棟へ向かった。
6 / 31
私達の学校は進学校だ。
もうみんな、進路について考えている。はや〜い。
でも、私は余命1年何だし。
気が乗らないなぁ。
はぁ。
その後、なんやかんやあって昼休みを迎えた。
軽い足取りで、屋上へと向かう。私は、屋上で食べるご飯が好きだった。
「暑っ」
はぁ、嫌になるなぁ。直射日光、日焼けしちゃうじゃん。
「愛」
え、何?
疑問に思って後ろを振り向くと“空翔”がいた。
「空翔?」
「はぁ?それ以外何に視えるんだよ。馬鹿か」
あいっからわず嫌味なやつだ。
「ねぇ、空翔」
「何だよ」
「サッカーしない?放課後」
「はぁ?何で?てかお前サッカーして大丈夫なのかよ」
性格がひん曲がっている空翔でも心配は、してくれたらしい。
もしかして、空翔って優しいの?
ま、後々分かることだろう。
「何でって感情を蘇らせるため、だけど?嫌なら嫌でいい。あと、サッカーは頭を使うこと以外ならできるし」
「ふぅん。まぁ、いいぜ。付き合う。てか、サッカーお前できるの?」
「No」
「英語かよ。まぁ、いい。元サッカー部主将の俺が直々に教えてやる。感謝しろ」
え、マジで?サッカー部主将?
「え、えええええっ!」
私は、新事実に驚きを隠そうとしても隠せなかった。
「何だよ」
「だって、元サッカー部主将だなんて。初めて知った」
「あっそ。で、いつなんだよ」
「今日の放課後、図書室集合」
「分かった。つかさ、こんなことよりもお前聞きたいことあるんじゃねぇの?」
気づ、かれてたんだ。その通りだった。私は、噂が事実なのかを知りたかった。
「それは、そう、だけどさ。でも、さ。ね?」
「何だよ。言いたいことあんならさっさと言えよ」
むぅ。言う勇気が無い。でも、言わなきゃ。
「あの、さ。空翔、あの“噂”は本当なの?」
「噂って?」
どうやら、自分の噂について興味がないのか知らない様子だ。
「あの、なんというのだろうか。空翔が大切な人を失って、そのせいで感情を失ったって噂。あれ、ホントなの?」
今日から、学校だ。
「おはよう」
「おはよう、愛。体調は、どう?」
お母さんは、あれから私を結構心配しているみたい。かと言っても私がうざくならない程度に。
「大丈夫だよ!何か、気分がいいんだよね。どうしてかな?」
「ふふっ。何かいいことでもあったからじゃないのかしら?」
お母さんの瞳は、私の思いを見透かすようだった。
その通り、だった。私は、あのトゲトゲした性格の空翔に恋をした。一目惚れ、ってやつなんだと思う…。
「おはよう、愛。無理するんじゃないぞ」
お父さん。お父さんは、単身赴任をこの前まででしていたけれど私の病気が発覚してからは何かと家にいることが増えた。
「うん、ありがとう」
「行ってきまーす!」
「いってらっしゃーい」
「まーな!おはよ」
声をかけていたのは、大親友の梓川美南(あずさがわみな)だ。彼女とは、中学校で出会い仲良くなった。彼女は、私が病気を患っていると知っている。彼女は、何かと頼れる存在でいわゆる姉御肌タイプでもある。でも、意外に繊細で本人は気にしないふりをしようとしているけれど何気ない一言に深く傷ついているのも知っていた。
「おはよ、美南」
「ねぇ、体調は大丈夫?無理してない?」
美南の心配を無くすため、わざと明るい声を出して安心させた。私の声に、どこか腑に落ちないという顔をしつつも納得はしてくれた。
気がつくと、学校の正門の近くに人の群れがあった。それを、うまくよけようとしたとき思いも寄らない声が私の耳に届いた。
「ねぇ、空翔くんよ〜!!今日もかっこいい!私、空翔くんの彼女になりたいわ〜!!」
く、空翔って言った?
少し群れから外れたところに移動するとあの日出会った空翔、張本人だった。
マジで?空翔と同じ学校だったの?初耳何ですけど…。
「ねぇ、美南。あの、空翔って子前にもいた?」
「え!あの空翔くんを知らない人がいるの!?」
「ここにいますけど…」
「う〜ん、そうだね。ずっといたよ。なんかね、風の噂なんだけど彼、大切な人を失ってから自分の殻に閉じこもって感情を感じることが出来なくなった、っておんなじクラスの子から聞いたよ。でも、所詮噂出しね〜」
大切な人が、亡くなったから感情を感じることが出来なくなった?感情を感じることが出来なくなったのは知っているけれど…。大切な人って言うことはよほどのショックを受けたのだろうな。
そんなことを思いながら教室棟へ向かった。
6 / 31
私達の学校は進学校だ。
もうみんな、進路について考えている。はや〜い。
でも、私は余命1年何だし。
気が乗らないなぁ。
はぁ。
その後、なんやかんやあって昼休みを迎えた。
軽い足取りで、屋上へと向かう。私は、屋上で食べるご飯が好きだった。
「暑っ」
はぁ、嫌になるなぁ。直射日光、日焼けしちゃうじゃん。
「愛」
え、何?
疑問に思って後ろを振り向くと“空翔”がいた。
「空翔?」
「はぁ?それ以外何に視えるんだよ。馬鹿か」
あいっからわず嫌味なやつだ。
「ねぇ、空翔」
「何だよ」
「サッカーしない?放課後」
「はぁ?何で?てかお前サッカーして大丈夫なのかよ」
性格がひん曲がっている空翔でも心配は、してくれたらしい。
もしかして、空翔って優しいの?
ま、後々分かることだろう。
「何でって感情を蘇らせるため、だけど?嫌なら嫌でいい。あと、サッカーは頭を使うこと以外ならできるし」
「ふぅん。まぁ、いいぜ。付き合う。てか、サッカーお前できるの?」
「No」
「英語かよ。まぁ、いい。元サッカー部主将の俺が直々に教えてやる。感謝しろ」
え、マジで?サッカー部主将?
「え、えええええっ!」
私は、新事実に驚きを隠そうとしても隠せなかった。
「何だよ」
「だって、元サッカー部主将だなんて。初めて知った」
「あっそ。で、いつなんだよ」
「今日の放課後、図書室集合」
「分かった。つかさ、こんなことよりもお前聞きたいことあるんじゃねぇの?」
気づ、かれてたんだ。その通りだった。私は、噂が事実なのかを知りたかった。
「それは、そう、だけどさ。でも、さ。ね?」
「何だよ。言いたいことあんならさっさと言えよ」
むぅ。言う勇気が無い。でも、言わなきゃ。
「あの、さ。空翔、あの“噂”は本当なの?」
「噂って?」
どうやら、自分の噂について興味がないのか知らない様子だ。
「あの、なんというのだろうか。空翔が大切な人を失って、そのせいで感情を失ったって噂。あれ、ホントなの?」