学校の王子様宮本兄弟は、私のお兄ちゃんです!
「「「「「行ってきまーす!」」」」」
いつもは、1人だった声も5人が重なるとけっこう大きな声になる。
私たちは、並んで家から飛び出した。
「おはよう凜々。」
「おっはよー杏!」
家の前で待っていたのは、幼なじみの杏。家が隣で小さい頃から遊んでいた。
いつもは、2人でゆっくり歩くんだけど…
「なな、杏。お前ちっちゃくね?」
「はい?あなたが大きいだけでしょ!」
「一月、お前口悪い」
私と杏の横には、4人の兄もとい杏の幼なじみがいる。
「ねぇねぇ、何あの人たち…!」
「カッコよすぎない?」
「うちの学校の制服?こんな人うちの学校いたっけ?」
周りには私の通う学校の生徒たち。
杏は、元から美人だし兄たちは、転校生。そして私はみんなから羨ましがられる女の子。
私たちは、注目をこれでもかというほど引き付けながら校門をくぐった。

「えー…転校生が来た。」
そう告げた担任、青山 蓮先生。体育の先生でボーイッシュ。みんなからの人気も高い先生もソワソワしながらそう告げた。
「みんなも知ってる通り、4人来ている。しかも同じ学年だ。4クラスあるこの学年では、1人1クラスに振り分けられた。」
ざわめくクラス。誰が来るんだろーとかそんなところかな?
というか、先生みんなが知っている前提で話してるけど、知ってるっておかしくない?
私は、先生にジトーとした目を向けながら次の言葉を待つ。
「ねね、凜々あなたなら知ってるんじゃない?兄の誰がこのクラスに来るのか…?」
後ろからの杏の言葉に
「知ってるけど、内緒の方が楽しくない?」
と返し前を向いた。
「入ってくれ」
先生の一言に再び注目は、前を向いた。
開く扉の後ろに見えたのは、青いガーディガンに、気崩したブレザー。そして、私と同じ桃色から薄い水色になるグラデーション。
「初めまして〜!日南 四音です!みんなよろしくね!」
予想以上のルックスだったのか、ざわめきが広がる。
そして勘のいい人達は、気づいてしまった…
「ねぇ、日南って凜々さんと同じ名字じゃない?」
「確かにー!てことは、兄弟とか?でも、そしたらなんで今まで同じところに通ってないの?」
「てかさー、兄妹だったら残りの4人も兄妹ってこと?五つ子じゃん」
聞こえてますよー…と心の中で答えながら私は、微笑みながら前を向く。
すると、教室をキョロキョロと可愛い効果音がつきそうな顔で見渡していた四音と目が合う。
その途端、四音の顔には、天使のほほえみ!
多分クラス中の女子の心を鷲掴みにしていった。
「え〜日南は、日南の隣の席に座りなさい」
すると、クラスでどっと笑いが起こった。
クラスの中でもお調子者の荒木 健(あらい たける)が先生に言った。
「センセ〜、日南と、日南って分かりにくいじゃないですか〜」
「あ、それもそうか。」
そんな時、先生の袖を四音がくいっと引っ張る。
「いいじゃないですか〜、兄妹だから名字が一緒なのは、仕方ないですもん」
そして、四音は私にチラッと視線を送ってきた。にっこりと可愛らしい笑みまで
まるで天使にも見えて悪魔の微笑みは、私だけに見える角度だった。
本っ当に頭がいいんだから…
私は、頬に掛かった髪を耳にかけながら手を挙げた。
「先生。私も四音に賛成です。私も四音も、名前で呼ばれるの、執着とかありませんもん」
「ね〜!やっぱ凜々だーいすき!」
四音はたたっと駆け寄ってきて私にハグをする。
私は髪を抑えながら、四音の少しカールしている髪を撫でる。
四音は、猫のようにもっとぎゅっとしてきた。
その様子を見て教室がまたざわめき始める。
「凜々ちゃんの兄妹って、やっぱ本当?」
「しかも2人とも呼び捨てって…幼なじみか、兄妹だよね!?もしかして付き合ってたり?」
四音は、ムフフと満足気に笑うと教室に爆弾発言を落としてきた。
「俺たちは、兄妹だよ〜!俺が4男!凜々は、末っ子なの!」
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