恋のコードが解けるまで

北海道へ着いた。杏奈にとっては初めての北海道だ。なんだか空気もカラッとしていて清々しい。梅雨がないって凄いなと感じた。
 
空港から迎えの車で北海道支店まで連れてこられた。
 
支店の社員と『お久しぶりです』というあいさつを交わした鈴木さんが、杏奈を紹介する。
営業担当の島崎さんと名刺交換した。

1時間ほど、北海道でのタイムスケジュールの確認と仕事の打ち合わせをし、そのまま近くの食堂で昼食を取った。北海道まできて親子丼を食べた。想像以上でも以下でもない安心する薄味だった。「若い人にはサービスだ」というありがたいお心遣いで、大盛だった。うっぷうっぷしながらも『すみません、食べきれません』が言えないコミュ障っぷりで、残さず食べた。

今夜のパーティーの参加者リストに変更があったらしく新たにメールしましたと支店の人に言われて杏奈も確認した。
 
変更されたのはいいのだけど、新しく加わった参加者が誰なのか印がついてないので分からない。
前回123名だった参加者が128名になっているのは分かるけど……。

「このリストだと5名新しく増えたようだが、誰が新しく入ったのかわからないだろう」
営業の島崎さんが、まいったという顔で部下を叱った。

「あ、すぐに確認してきます!」
新人なのかだろう。パソコンに向かって走って行った。

杏奈は123名の参加者を暗記していた。新しい参加者に赤色のマーカーで印をつけ、いなくなった参加者に青色のマーカーで印をつけ、タブレットに変更と書いて鈴木GMに送った。
 
「ん?」
 
と鈴木が杏奈の方を見たので、8名新しい方がおられて、以前の参加者から3名が欠席のようです。と報告した。

「早いね」
「そうですね」

「もしかして参加者を全員暗記してた?」
「暗記得意なんで……」
そのやり取りを見ていた島崎さんが「さすが本社」と呟いた。

うちの社は本社採用と支社採用で少し働き方に違いがある。本社採用は高い学歴やスキルを求められハイクラスだといわれていた。
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