恋のコードが解けるまで

ソースコードを読みながら適当に有田さんの相手していると。

「杏奈ちゃ――ん」
 
情シスの部長に遠くの席から呼ばれてしまった。『お前ら仕事しろ』といつものように怒られるのかと思いきや。用件は違った。

 
「悪いけどロシア語を話せる人が必要らしいから、今すぐ海外事業部にいってくれない?」
 
「海外事業部ですか?」
 
「そうそう、8階」
 
入社して初めてロシア語関係で呼び出された。ってか部長、私がロシア語を話せることを知っていたのか。
杏奈は仕方なくPCモニターの電源を落とした。

 
海外事業部なのにロシア語を話せる人が他にいないのか?と疑問に思いながら杏奈はエレベーターのボタンを押した。

 
杏奈は母方の祖母がロシア人なのでロシア語が身についている。
5歳まではロシアで暮らしていた。

一見日本人だが、肌の色の白さやグレーがかった瞳、日本人離れしたスタイルの良さ、ハッキリした目鼻立ち。
よくみれば外国の血が混ざっているっぽいね、レベルのクォーターだ。



 
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