恋のコードが解けるまで

面接


8階、海外事業部の会議室。

小さな会議室に案内され、ドアをノックして中に入ると、先に4名ほどが机を挟んで話をしていた。
杏奈が入室すると、杏奈を見て一斉に皆がギョッと目を丸くした。

はい。まぁ、そうですよね。
お客さんが来るときにはさすがにもう少しましな服装なんですが、今日は来客もないので、いつも通りの昭和感を漂わせた、らくちんコーデです。しかもヘアゴムが切れたので、髪が爆発してるのも分かってます。
皆さんのヤバい奴がきた視線はスルーした。


「情報システム部から来ました藤野です」

杏奈は頭を下げた。
 
みたところ会議室にロシア人と思しき人物はいない。
ロシア語の通訳するんじゃなかったのか?疑問に思いながら、杏奈はすすめられた椅子に座った。

そこにいる女性二人は美人だった。姿勢がよく服装もきちんとしてお洒落。メイクは派手過ぎず髪も綺麗に纏められている。
 
後の男性は1人が50代くらい。仕立てのよさそうなスーツにギラギラとした海外の高級ブランドの腕時計。いかにも役職ついてますという感じだ。海外事業部の部長だと名乗った。
もう1人、年齢は30前後だろう。鈴木聡《すずきさとし》ジェネラルマネージャー(GM)。イケメン。シャツの上からでもわかる鍛えられた体。背筋もピンと伸びていて清潔感がある。

 
場違い感半端ないんだけど……と思いながら杏奈は居心地の悪いこの場所から早く立ち去りたいと願った。
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