恋のコードが解けるまで

よっぽどお腹がすいてたのだろうか。鈴木さんは3杯目のおかわりだ。
杏奈は鈴木さんを家にあげて、カレーを一緒に食べている。凄い美味いよと何度も言ってくれた。

途中コンビニでビールとおつまみを、他にいるものあったらどうぞと言われたので福神漬けを一緒に買ってもらった。
 
「まさか、徒歩通勤できているとは思わなかったよ。こんなに近くに住んでたんだね」

鈴木さんは辺りを見回しながら驚いたようだった。 
杏奈のアパートは、オフィスビルが立ち並ぶ都会の真ん中に建っているが、老朽化したので取り壊ることが決まっていた。再建築不可物件のため隣家に売却されるらしい。
 
「立地は最高です。ただ来年取り壊されるんで、今は住人が二人しか住んでないんです。静かでいいんですがちょっと怖いです」
 
そうなんだね。鈴木さんは室内を見回しながら頷いている。
 
意外と会話ができてるので安心した。確かに出張で数日一緒に居たし初見という訳ではないので、話すのに緊張したりはない。
 
「よく友達とかも遊びにくるの?会社の人とか……有田さんとか?」
 
 
「プライベートなこと訊きすぎだね。ごめん」

「いえいえ、友達少ないので」
 
と言うか、会社に友達いない。
 
鈴木さんはビール3本目に突入している。なんか嬉しそうだ。ってか、鈴木さん御存じですよね?私、ガッツリオタクです。陰キャでコミュ障です。そんなくつろぐ雰囲気出してないんですけど。最初にあった面接の時、私のまりも頭みてギョッとしてましたよね。
 
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