恋のコードが解けるまで

「本物の人間をモデルにコーデできるなんてすごく幸せ!」
リリカさんはまるでスタイリストのように、次から次へと洋服を試着させる。けれど派手めなラメ入りの物やミニスカートはなかった。
杏奈の色白の透明感のある顔、すらっとしたスタイルに合うよう、ちゃんと考えてきてくれたみたいだ。
 
「持ってきた服がクローゼットに入り切らないから、『昭和服』を断舎離するわよ!……良かった杏奈ちゃんと身長一緒で。このウサちゃんのふわもこパジャマ似合う〜!」
 
杏奈は身長が165㎝、リリカさんは167㎝くらいサイズはほぼ同じだ。子供の頃隠れて着せ替え人形で遊んでいたらしいリリカさん。とても楽しそうだった。

杏奈は自分の好きなことはとことん追求しする。その代わり、興味のない分野には全く関心を示さない。今回の出張で、興味のなかった洋服を、人に選んでもらえる楽ちんさを知った。秘書課の女性とはあまり気が合いそうになかったが、彼女たちの功績。他人の趣味バンザイ。文句なし!うさ耳パーカーやむなし!

翌日は下着や靴など購入するため二人でショッピング。そしてリリカさんが行きたかったというスイーツ食べ放題へ。パソコンショップやオタクの聖地アキバ以外の場所へ行くのが珍しかったのでドキドキしてしまった。

すれ違う人の視線が気になった。
「私たちが可愛いからみんな見ちゃってるー」
と言うリリカさん。ポジティブで堂々としていて可愛いというよりは勇ましかった。

お礼に夕方からエステを予約して行くことにした。杏奈はもちろん初めてのエステ。すごく高いのかと思ったが、初めての人には優しい金額設定だった。

カップルプランがあるところじゃないと駄目よと言われた。『だって私工事前だもの』だそうだ。

その辺は配慮した。
 
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