恋のコードが解けるまで

元気になったら、掃除代を請求する。と何度も心中で繰り返しながら有田の家を掃除している。
こんなところで生活してたら病む。
 
台所は使ってないだろうが、シンクは弁当の容器などで散らかっていた。
冷蔵庫の中は比較的奇麗だったが業務用のそれは1人暮らしには不向きな巨大なものだった。
 
一時間ほど掃除したところで、杏奈はこれは終わらない……と感じた。この暑い中、なんで私は必死に人の家を掃除しているんだ。

ネットですぐに来てくれる何でも屋さんを検索する。『クリーニング(即日特急)』見つけて電話した。そして1時間後にきてくれるようにお願いした。
 
トータル3時間後にバーカウンターの部屋とトイレやシャワー室など水回りはすっかりきれいになった。ゴミ類は業者が処分してくれるという事だった。
時間の余裕があったので、業者さんに窓拭きもしてもらった。

都会バンザイ。ネットで頼めばなんだって直ぐにサービスが提供される。

綺麗になると、そこは都会の小さなバーだった。
生活感は奥にあるPC環境のみで、カウンターに使われている天板は、美しい木目のチーク材。照明はペンダントライト、吊り下げ式の可愛いランプがぶら下がっている。結構お洒落な雰囲気が漂う居心地の良い空間だった。
 

掃除が済むと、汗とホコリで体が気持ち悪かったのでシャワーを借りた。さっき買い出しに行く途中、ウニクロで下着とワンピースを購入したのでそれに着替えた。
 
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