恋のコードが解けるまで

このままいくとエンドレス。そろそろお昼ご飯なので面倒な事には関わりたくないと思ってはいたが……杏奈は反撃開始する。

「秘書課の方々からの貴重なご意見ありがとうございます」

ポケットからICレコーダーを取り出して再生ボタンを押した。



――『だから、あなたが同行しても何の役にも立たない足手まといなだけ』――

「なにぶん勉強不足ですのご享受いただいた事が再度確認できるようにに録音していました。課に戻って上司と相談して今回の出張をどうするのか決めさせていただきますね」

一瞬で秘書課のお姉さま方が凍りついた。青くなって二人で顔を見合わせている。

ICレコーダーの再生は止まらない。
――『なにその髪型?爆発したの?カリフラワーなの?』――

「コンプライアンス室に持っていく……案件に……なるかもですね」
続ける。
「昨今では「侮辱罪」を厳罰化する改正刑法が可決され成立した。なんて聞きますし」

「ちょ、ちょっとなんなのあんた、脅すつもり!それ、消しなさいよ!」
 
「ちょっと冗談言っただけよ!」

トイレへ連れ込まれた時点で、察しはついていましたから。杏奈はニコッと笑った。

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