僕は彼女に絆されている
僕は君のたった一人のファン
GWが終わった、5月。

琉夏と華乃子の住んでいる、マンション。
華乃子が就職して、同棲を始めた二人。
1LDKのこの部屋は、元々琉夏が一人で住んでいた部屋。
そこに華乃子が、一ヶ月前に引っ越してきたのだ。

一つのベッドで一緒に寝ている二人。

華乃子は、自分の顔があまり見られずに済むので後ろから抱き締められることを好む。

なので、たいがい二人は琉夏が後ろから抱き締めて眠っている。

スマホのアラームがなり、華乃子がゴソゴソと動き出す。
ヘッドボードに置いているスマホを掴み、まだ眠そうに操作した。

「ん…起きなきゃ…」
呟いて、起き上がった。

そして華乃子は、琉夏にスマホ画面を向ける。

カシャッと一枚写真を撮った。

「カッコいい…//////
今日も一日頑張れそう!」

フフ…と笑って、スマホをヘッドボードに置こうとする。

「また盗撮したね……」

すると、目を瞑ったまま琉夏が声をかけてきた。

「あ…」
(お、起きてた…!?)

「写真。
撮るなら、ツーショットって言ったよね?」
パチッと目を開けた琉夏。
鋭く、華乃子を見上げた。

「……/////」
(睨んでても、カッコいい//////)

「ノコ!
写真、消しな」
起き上がり、華乃子を足で挟んで顔を覗き込んだ。

「え!?
消さないとダメですか?」

「ダメ。
僕の写真が撮りたいなら、ツーショット撮ろ?
二人でなら、沢山撮って構わないんだから。
それに、僕だってノコの写真欲しい!」

「わかりました、消します。
その代わり、今撮っていいですか?
琉夏くんの写真」

「ん?だから!ツーショット!」

「ツーショットはやめておきましょう」

「どうして?」

「顔面偏差値の差が、如実に出ます」

「またそれ?
どうして気にするの?
ノコは可愛いよ?
僕は、そんなノコが大好きだよ!」

「……//////」
超絶イケメン琉夏に“可愛い”と言われると、やっぱり嬉しい。
思わずはにかむ、華乃子。

「あ、この表情(かお)可愛い…!
ね?撮ろう?」

琉夏も、ヘッドボードから自分のスマホを取る。
そして、華乃子を後ろから包み込むように座り直した。

「はい、ノコ。
レンズ見て?」
インカメラにした琉夏が、華乃子に顔を寄せる。
スマホ画面に、琉夏と自分が写っている。

「……/////」
(恥ずかしい…恥ずかしいよぉ…
顔面偏差値の差がぁぁぁーーー!)

そう思いながらも、華乃子は画面越しの琉夏に見惚れていた。
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