僕は彼女に絆されている
鈍感な僕の彼女
週末。
今日華乃子は、会社の歓迎会だ。

「――――ノコ」

「はい」

「今日、仕事終わったらそのまま行くの?」

「あ、はい」

朝一緒に駅まで歩きながら、琉夏が聞いてくる。
華乃子が頷くと、繋いでいた手を更に強く握りしめた。

「前も言ったけど、お酒、飲みすぎないこと!」

「はい!」

「三杯が限度かな?
それ以上飲むと、ノコはヤバいからね?」

「はい…(笑)
なるべく、食事を堪能しようと思ってます!
居酒屋さんみたいなんですが、お洒落なところらしくって!
今日食べてみて良かったら、今度一緒に行きましょう!」

「うん、そうだね…!
……………」

「ん?琉夏くん?」

「………できる限り」

「え?」

「できる限り、男の横に座らないで?
仲良いって言ってた先輩の隣に座って?」

「あ、はい」

「迎えに行くから、後から店の情報を送って?」

「はい、わかりました!」

「ごめんね、束縛発言して」

「え?
そんなことないですよ?
私が頼りないからですよね…(笑)
すみません、心配かけて……」

「………」

いや、違う。
これは完全に嫉妬しているからだ。
仕事とはいえ、自分以外の男達と食事をし、更に酒まで飲む。

(ノコって、ほんと…鈍感だよな…(笑))

そこも可愛いところだが、その可愛いところがある意味危ない。

琉夏はどこか心配を抱えながら、駅で華乃子と別れたのだった。


その日のランチ。
琉夏は、休憩所に行き食べていた。

ここの休憩所は、煙草を吸いながら食事が出来る部屋。
換気がきちんと行き届いていて、更にドリンクバーもついている。

琉夏が勤める会社は、休憩所が何箇所かありこの休憩所は琉夏のお気に入りだ。

「―――――あ、板鳥だ!お疲れ〜」

「お疲れ」
同僚のミシマが入ってきた。

買ってきた弁当を広げる、ミシマ。
食べながら、琉夏の弁当を覗き込んだ。

「毎日、旨そうな弁当いいな〜」

「あぁ!」

「同棲中の彼女が作ってくれるんだろ?」

「あぁ」

「いいな〜
あ!金払うからさ、俺の分も作ってもらってよ!」

「は?何をバカなことを…」

「いいじゃん!
手作りに飢えてんの!」

「冗談はやめてよ」
そう言って、煙草を吸い始めた。

「本気なのに…
別にいいじゃねぇかよ…」

ブツブツ言っているミシマを無視して、スマホを操作していると、華乃子からメッセージが入ってきた。
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