僕は彼女に絆されている
「ノコ」

「は、はい!」
手を引っ張られながら、少し早足の琉夏に必死について行く華乃子。

「二次会行こうとしてたね」

「え?あ、いや…付き合わなきゃなのかなと…
社会人として…」

「はぁ…」
大きなため息をつく、琉夏。

「え……!?」
(あ、呆れてる…?)

「二次会は、あくまでも任意。
行きたい人が行くところ。
歓迎会とは、わけが違うよ?」

「そう…ですよね…」

そして、ピタッと立ち止まる琉夏。
振り向き、言った。
「で?
さっきの二次会に誘っていた社員は、どんな関係?」

「え?
同僚のカハラさんです」

「そう。
カハラくんね。
覚えておくよ」

「へ?どうしてですか?」

「ん?
……………教えない」

「え!?
な、何故!?」

「“それよりも”早く帰って、ゆっくりしよ?」

「え?え?」

教えないよ。
この程度でヤキモチ妬く、器の小さい男だって思われたくないし。

きっと彼は、ノコに好意がある。
見ればわかる。
だって――――
僕と同じ目をしてたから……!


自宅マンションに帰り着く。

「ノコ、来て?」
ローソファに座った琉夏が両手を広げる。

「あ、ちょっと待ってください!
お水、飲みたくて……」

2杯しか飲んでないが、少し酔いはまわっている。
水を飲んで、醒ましたい。

「だったら、持っておいで?
水、冷蔵庫に入ってるよね?」

「あ、はい」

冷蔵庫からミネラルウォーターが入ったペットボトルを出し、琉夏の元へ戻る。
いつものように、後ろから包まれ抱き締められた。

「はぁ…やっと、おもいっきり触れた……!」

「はい…//////」

「水、飲みな?」
ペットボトルを握ったままの、華乃子。
琉夏が後ろから顔を覗き込む。

「あ…飲みづらくて…」

「フフ…貸して?」
華乃子からペットボトルを受け取り、栓を開けた琉夏。
華乃子の口元に持っていき、少し傾けた。

「んんっ…」 

「……………飲めた?かな?」

「んん…は、い…/////」

「………」
酒で少し酔っている上に、目を潤ませ上目遣いで見上げられ、琉夏の胸がドクン…と大きく跳ねた。

「………琉夏くん、もう一口……」

「………」
しかしペットボトルをテーブルに置いた、琉夏。
そのまま、華乃子を押し倒した。 


「え――――る、琉夏く…!?」 
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