僕は彼女に絆されている
「ノコ!」

「あ!お待たせしました!」

「まーた、盗撮したね?」

「え?」

「………ったく…(笑)
恥ずかしいでしょ?」

「フフ…」

「笑い事じゃないよ?」

「フフ…フフフ…」
(誰が琉夏くんに見惚れてても、琉夏くんは私の!)


「―――――ノコ、リンゴジュースだけ買っておいたよ!
一緒に飲もうね!」
「はい!ありがとうございます!」

スクリーンに向かう。
ペアシートに座ると、自然に琉夏が腰を抱いてきた。

「……/////」
(うぅ…//////腰抱き、なかなか慣れない…)

「ノコ、ジュースは?」

「はい。いただきます」
ストローから少し飲んだ。
その上から琉夏が飲んで、ドリンクホルダーに置いた。

「も…すぐ始まるかな…?」
片手でスマホを扱いながら、時間を確認する琉夏。

「あ、琉夏くん」

「ん?」

「手、繋ぎませんか?」
(これなら、ドキドキしないし!)

「ん、良いよ!」
華乃子の腰から手を離し、差し出された手を握る。
指を絡めて「ほんと手、ちっちゃ…(笑)」と笑った。

やがて暗くなって、映画が始まり……
琉夏と華乃子は、手を繋いだまま映画を観ていた。


「――――シーズン2も良かったですね〜!」
上映が終わり、華乃子が少し興奮しながら言った。

「そうだね(笑)」

「まさか、最後の最後で彼が出てくるとは……!」
「確かに!
そこは、興奮するよね!」

しばらく映画の感想を話して、ランチにするために外に出た。

「何食べようか?」

「うーん…うーん…」

迷っている華乃子を微笑ましく見て、うどん店を指差した。
「フフ…じゃあ…うどんは
そこのざるうどん!」
「はい!」

ランチ後。
またモール内をゆっくり見て回っている、二人。

琉夏が腕時計の前で立ち止まり、見つめていた。
「………」
(欲しいのかな?)

「―――――あ!ノコ」
何かを思い出したように、華乃子を見下ろす。

「え?は、はい!」

「7月の連休って、休みだよね?」

「はい!三連休です!」

「良かった!
じゃあ…旅行行かない?
温泉旅行!
部屋風呂がある旅館に泊まって、ゆっくりしようよ!」

「はい!
良いですね〜!」

「実は良い所、教えてもらったんだ!
まだ空きがあるから、早速予約しようと思うんだけどいい?」

「もちろんです!」

華乃子は満面の笑みで、琉夏に頷いた。
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