僕は彼女に絆されている
僕の愛しい彼女
旅行を来週に控えた、平日の夕方。
仕事終わりの華乃子は、ショッピングモールにいた。
琉夏が見ていた腕時計を、プレゼントしようと思ったからだ。
「………」
(うぅ…値段、エグい…)
ブランド物の腕時計。
値段も、素敵な金額だ。
しかし、普段の琉夏への感謝や喜んでほしいという想い、そして何より琉夏への深い愛情を何か形にして贈りたい。
華乃子は、おもいきって購入したのだった。
旅行までは、バレないようにバッグに大切にしまった。
そして、旅行当日。
駅に向かう、琉夏と華乃子。
2人分の荷物が入った、大きめのキャリーケースを引く琉夏。
反対の手で、しっかり華乃子の手を握っている。
しかし琉夏は、少し機嫌が悪い。
その理由は、今朝にある―――――――
今朝早く、荷物のチェックを一緒にしていた二人。
『――………あれ?ノコ。
今日のバッグ、大きいね!なんで?』
『へ?
あ…色々入れてたら、大きくなっちゃって…(笑)』
『色々?
珍しいね(笑)
ノコは、あんまり荷物を持ち歩かないでしょ?
いつもはポシェットなのに、今日は大きめのショルダーじゃん!』
『えーと…お化粧道具とかを…』
『…………ん?なんかノコ、怪しいよ?
お化粧道具、僕のショルダーに入れてあげるから、いつものポシェットにしな?
他にもあるなら、僕が持っててあげるから。
あんまり重くなると、肩とか首が痛くなるよ?』
『大丈夫ですよ?』
琉夏にプレゼントする腕時計。
箱に入って、ラッピングされている。
それを崩さないように入れているので、大きめのショルダーにしたのだ。
今日渡す予定だが、まだバレたくない。
それを必死に隠しているのが逆に怪しまれ、琉夏の機嫌を損なわせてしまったのだ。
「る、琉夏くん…!」
「ん?何?」
前を向いたまま返事をする、琉夏。
「………あ、あの…」
(怖い…
いつもは、私の顔を見て話してくれるのに……)
「うん」
「お、怒ってますか?」
「怒ってはないよ」
「………」
「でも、傷ついてる」
「え……」
「ノコ、隠し事してるよね?
何でも知りたいとは言うつもりないけど、あからさまに隠されると傷つく」
琉夏の握っている手に、グッと力が入った。
仕事終わりの華乃子は、ショッピングモールにいた。
琉夏が見ていた腕時計を、プレゼントしようと思ったからだ。
「………」
(うぅ…値段、エグい…)
ブランド物の腕時計。
値段も、素敵な金額だ。
しかし、普段の琉夏への感謝や喜んでほしいという想い、そして何より琉夏への深い愛情を何か形にして贈りたい。
華乃子は、おもいきって購入したのだった。
旅行までは、バレないようにバッグに大切にしまった。
そして、旅行当日。
駅に向かう、琉夏と華乃子。
2人分の荷物が入った、大きめのキャリーケースを引く琉夏。
反対の手で、しっかり華乃子の手を握っている。
しかし琉夏は、少し機嫌が悪い。
その理由は、今朝にある―――――――
今朝早く、荷物のチェックを一緒にしていた二人。
『――………あれ?ノコ。
今日のバッグ、大きいね!なんで?』
『へ?
あ…色々入れてたら、大きくなっちゃって…(笑)』
『色々?
珍しいね(笑)
ノコは、あんまり荷物を持ち歩かないでしょ?
いつもはポシェットなのに、今日は大きめのショルダーじゃん!』
『えーと…お化粧道具とかを…』
『…………ん?なんかノコ、怪しいよ?
お化粧道具、僕のショルダーに入れてあげるから、いつものポシェットにしな?
他にもあるなら、僕が持っててあげるから。
あんまり重くなると、肩とか首が痛くなるよ?』
『大丈夫ですよ?』
琉夏にプレゼントする腕時計。
箱に入って、ラッピングされている。
それを崩さないように入れているので、大きめのショルダーにしたのだ。
今日渡す予定だが、まだバレたくない。
それを必死に隠しているのが逆に怪しまれ、琉夏の機嫌を損なわせてしまったのだ。
「る、琉夏くん…!」
「ん?何?」
前を向いたまま返事をする、琉夏。
「………あ、あの…」
(怖い…
いつもは、私の顔を見て話してくれるのに……)
「うん」
「お、怒ってますか?」
「怒ってはないよ」
「………」
「でも、傷ついてる」
「え……」
「ノコ、隠し事してるよね?
何でも知りたいとは言うつもりないけど、あからさまに隠されると傷つく」
琉夏の握っている手に、グッと力が入った。