僕は彼女に絆されている
「父と母が言ってたんです。
例え夫婦でも恥じらいがなくなるから、浮気や不倫に走るって!」

「え?」

「もちろん、父と母の持論ですが…
浮気と不倫って、相手を愛してたら考えられないですよね?」

「そうだね」

「一緒にいる相手に対して恋心が薄れるから、他の人に心が移る。
恥じらいがなくなるってことは“恋心が薄れてる証拠”
だから平気で裸になったり、下着姿で歩き回れるって。
父と母は、その辺がはっきりしてて…
母は今でも、父の前で恥じらうんですよ?
父も、ドキドキするって言ってます。
だから二人は、今でもラブラブです!」

「なるほど!」

「私も、琉夏くんとそんな関係でいたいです!
琉夏くんに、いつまでもドキドキしてもらいたいです!」

「うん、ドキドキしてるよ?今も!」

「フフ…私もです//////」


ほんと、愛しい彼女だなぁ……

琉夏はそんなことを考えながら、華乃子を更に抱き締めた。


朝になり――――仲良く豪華な朝食を食べ、浴衣から服に着替える時……華乃子はやっぱり恥ずかしがっていた。

「み、見ないでください!」

「えー!」

「琉夏くん!
“回れ右です!”」

「フフ…はーい!」

琉夏はソファに座り、煙草を吸いながらスマホゲームを始めた。


着替えてメイクを済ませ、琉夏の隣に座った華乃子。
隣座る琉夏を見つめた。

「……/////」
(カッコいい…//////)

見惚れていると、琉夏がスマホの電源を切って華乃子の方を向いた。

「準備できた?」

「はい!」

「………」

「………」
(え?え?なんで、ジッと見られてるの…!?)

「ノコ」

「は、はい!//////」

「ノコって、可愛いね!」

「………へ?」

華乃子の頬を、指で突っついて立ち上がり「行こうか!」と言った。

「……/////」
(ふ、不意打ち…ヤバい…//////)


帰りの電車内――――――

「あ!ノコ。
見て?」

琉夏がスマホ画面を見せる。

「え……これ…なん…で、す…か?」
昨晩のツーショット写真の数々が写っていた。

「ノコ、可愛いでしょ?」

顔を寄せ合ってのツーショット。
華乃子が琉夏の頬にキスをしているツーショット。
反対に、琉夏が華乃子の頬にキスをしているツーショット。等……

確かに、いつものツーショット写真とは比べものにならない程自然体だ。

「……/////」

「僕のお気に入りは、これ!
ノコがキスしてくれたヤツ!
この時のノコ、可愛かったなぁ〜
これ、キスしながら“琉夏くん、好き好き〜”って言ってくれたんだよ?
――――――――」
琉夏が、嬉しそうに思い出話している。


とても楽しかった、温泉旅行。

しかしそんな琉夏を横目に………お酒は最大2杯にしようと心に誓った華乃子だった。
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