僕は彼女に絆されている
一方……
こちらは、琉夏。

ミシマ達と飲んでいた。


「――――でさー、それが美味しそうなんだよなぁー」
琉夏が持ってくる弁当の話になり、ミシマが羨ましそうに言っている。

「いいなぁ~」

「………」
(当たり前だ。
毎日ノコが、色々考えて作ってくれているんだから)

「やっぱ今度、俺の分も作ってもらってよぉー」

「は?嫌」

「いいじゃん!
板鳥が作るんじゃないんだからさぁー」

「そうゆう問題じゃない」
(どうして、僕以外の男のためにノコが弁当作らなきゃいけないの!?あり得ない!)

「ほんと、ケチだな!」

「ケチって……」

「まぁでも、板鳥って彼女一筋だよな~」

「まぁ、そうですね」
先輩の言葉に、頷いてビールを一口飲む琉夏。

「この前さ、○○に彼女といただろ?」

「○○
あー、デートで行きました」

「なんか、癒し系?な感じだったな!
正直、意外だったなぁ」

「は?」

「板鳥みたいなイケメンなら、もっとこう…クールなバリキャリ系かと思ってたから。
まぁ、俺の勝手か偏見だが(笑)」

「そうゆう子と付き合ったことはありますが、長くは続かなかったです」

「へぇー」

「それに、疲れる」

「疲れる?」

「何でも出来る人と付き合うのは、疲れます。
可愛げがないし。
それよりも…劣ってても、何かに一生懸命な子に惹かれます。
思いやりとか、気遣いとかちゃんと出来る子」

「まぁ、確かにな(笑)」

「じゃあ今の彼女は“そうゆう子”なんだ?」

「はい」 

琉夏は、華乃子を想った。
自然と笑顔が出てきた。


その表情を見て、ミシマ達が目を見開く。

「すっごい笑顔…(笑)」  
「ベタ惚れだな(笑)」

「………ねぇ、写真ないの?」

「ありますけど、見せませんよ?」

「いいじゃん!見せてよ!」
先輩がテーブルに置いていたスマホを指差す。

すると、ちょうど画面がパッと切り替わり、琉夏と華乃子のツーショットと華乃子からのメッセージが写し出された。

バッと、スマホを掴み取った琉夏。

「今、見ました?」

「見た」
「キスしてたな」
「なんか、エロかった」

「頭の中から、消去してくださいね。
僕、電話してくるので」

そう言って、居酒屋を出た。
< 29 / 43 >

この作品をシェア

pagetop