僕は彼女に絆されている
「………」
(やった!!ベストショット、ゲット!!)

「あー!」

「フフ…!」
(カッコい〜!!)
華乃子は早速、ホーム画面の画像に設定する。
そして安心したように、メイクを再開した。

すると……
ふわりと煙草の匂いがして、琉夏に後ろから包み込むように抱き締められた。

「ちょ…/////お化粧、しずらいです/////
離れてくださ…//////」

「いいじゃん!
このまましなよ?」

「無理ですよ!
恥ずかしいです…」

「でも僕だって、離れたくない。
我慢して?」

「……/////」
しかたなく華乃子は、琉夏に後ろから見つめられながらメイクをしたのだった。


一緒にマンションを出て、駅まで歩く。
駅で別れて、別々のホームに向かう。

「じゃあ…ノコ。
○○の前で待ち合わせね!」

「はい!」
二人は小さく手を振り合い、別れた。

電車に乗り込み、華乃子はあいてる席に座る。
すると、丁度華乃子の前に大学生カップルが立った。 
そのカップルは、彼氏がイケメンで彼女はパッとしない子。

なんとなくそのカップルを見て、華乃子は自分と琉夏を想像し、琉夏と出逢った時を思い出していた。



琉夏と華乃子。
同じ大学の先輩と後輩である。

華乃子が入学した時“板鳥 琉夏ファンクラブ”というのが存在していた。

華乃子は、琉夏をテレビで見たことがあったのだ。

琉夏が高校生の時……
“カッコ良すぎる高校生”と言われ、一躍話題になったことがあるからだ。

この大学も、琉夏と少しでもお近づきになりたくて受験したくらいだ。

ファンクラブに入ったのはいいが、全く琉夏と接触できない。
それどころか、近づくことさえ無理だった。

あっという間に一年が経って、華乃子はファンクラブを抜けようと考えていた。

それは、嫌がらせを受けるようになったからだ。

ファンクラブの幹部達は、少しでも琉夏に近づく人間を減そうとして、華乃子を始め沢山のファン達に嫌がらせをしていたからだ。

どうせ近づくことはできない。
嫌がらせを受けるくらいなら、遠くから見てたほうがいい。

琉夏と行く、ファンクラブでのBBQを最後に、抜けると決めていた。

しかしそこで急激に近づき、琉夏の心に華乃子が棲みつくことになった。
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