僕は彼女に絆されている
華乃子に電話をかける前に、一度深呼吸をする。
そして、電話をかけた。

『もしもし?琉夏くん!』

「ごめんね、一人にして。
もうすぐ帰るからね!」

『あの、迎えに行っていいですか?』

「え?」

『駅まで』

「ダメだよ!」

『え?どうしてですか?』

「危ないでしょ!?
ダメ!」

『大丈夫ですよ?』 

「そうゆう問題じゃないよ?」

『でも…
…………早く…た…し…』

「ん?何?聞こえない」

『あ、い、いえ!/////』

「とにかく!
絶対!外出ちゃダメだからね!
僕も急いで帰るから!」

『…………わかりました』  


琉夏はミシマ達に断りを入れ、タクシーに乗り込んだ。

自宅マンション前で降り、マンションに入ると……
「………え…!?の、ノコ!?」

「あ!琉夏くん、おかえりなさい!」

「こんな所で何してるの!?
外出ちゃダメって言ったよね!?」

心配でつい、責めるような言い方になる。

そんな琉夏に、華乃子も少しムッとして言う。

「外に出てないですもん!
マンション内ですもん!!」

「ノコ?」

「しょうがないじゃないですか!?
会いたかったんですもん!!」

「え//////」

「琉夏くんのせいです!!」

「え?え?」

「琉夏くんせいで、何も手につきません!」

「え?ノコ?」

華乃子はトコトコと琉夏の前まで行き、手を握った。
そして、そのまま手を引いてエレベーターに乗り込んだ。


「ノコ?どうしたの?」
エレベーター内で、華乃子の顔を覗き込んだ琉夏。
反対の手で頭を撫でた。

華乃子が少し泣いているような感じだったから。

「琉夏くん、お腹すきました」

「え?食べてないの!?」

「はい、ほとんど」

「どうして!?」

「それも、琉夏くんのせいです」

「え……ぼ、僕の…!?」

「なので、帰ったら付き合ってください」

「え?あ、う、うん」

エレベーターが着き、家に入る。
そして華乃子は冷蔵庫を開け、琉夏に中を見せた。

「見て下さい」

「わぁー、プリンとロールケーキ、これはシュークリーム?
凄いね(笑)」

「冷凍庫にアイスもあります。
全部、2個ずつ。
これ全部、一緒に食べてください」

そう言った華乃子は、なぜか切なそうな表情だった。
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