僕は彼女に絆されている
琉夏は、とても優しくて華乃子の全てを包み込む。

しかし時々、意地悪だ。


週末。
二人は、晩酌をしながらサブスクの映画を見ていた。

いつものようにローソファに座り、琉夏が華乃子を後ろから包み込んでいる。

酒は程々にしているが、華乃子に眠気が襲っていた。

それでも華乃子は眠い目を必死に開けながら、琉夏と過ごしていた。

でもどうしても、あくびが多くなる。

「眠い?ノコ」

「え?あ…だ、大丈夫です…!」

「………」
(でも“眠い”って顔に書いてあるし…)

「もう一つ、見たい映画があるんだけど…
ノコは寝たいよね?」

「え?
………あ…大丈夫です!」

頷く華乃子に、琉夏が頬にキスをした。
そして、頭を撫でてきた琉夏。

「………」
(頭ぁー、撫でないでぇー)
眠気を誘うような行為に華乃子は、眠らないように必死に意識を保っていた。

「………」

「………」

「………」
(ね、眠い…)

華乃子は、目が潰れかけていた。
とにかく目を覚まそうと、琉夏にわからないように少し太ももをつねった。
それでも眠くて、琉夏を見上げた。

「琉夏くん、おトイレ…」

「ん、いってらっしゃい」
華乃子を離した琉夏が、微笑み言った。

ガシャンとリビングのドアが閉まり、琉夏がクスクス笑い出した。

「………んと、可愛いし!
“眠い”って言えばいいのに(笑)」

当然琉夏は華乃子が眠そうなのを察していたが、顔色を窺ってくるのが可愛くて、わざと知らないフリをしていた。


一方の華乃子はトイレではなく、洗面所にいた。
冷たい水で、バシャバシャ顔を洗う華乃子。

「くぅー、冷たい…!!
でも、目は少し覚めたかも?」

“よし!”と気合を入れて、戻ろうとする。

「…!!!?
る、琉夏く……!?」

「なーにしてんのかな~?」


ドアを出てすぐの所で、琉夏が意味深に微笑み待ち構えていた。

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