僕は彼女に絆されている
琉夏は、ため息をつき席を立った。

ドリンクバーがあり、琉夏はコーヒーを淹れて戻り、ノートパソコンを持って席を移動した。

「え……琉夏!」

「いい加減、やめてくれないかな?」

「え……」

「一人で仕事したいし、付き纏わないで」

「そんなつもりは…」

「あと、名前」

「え?」

「僕とヒガは“ただの”同僚。
名前で呼ぶのも、やめてほしい」

「………」

「板鳥ー、ちょっとい?
―――――――」
そこに先輩社員が声をかけてきて、琉夏は別の席に座った。


一方の華乃子。
休憩室でスマホ画面を見ながら、にやけていた。

(カッコいい〜
カッコ良すぎる!!)

言わずもがな、琉夏の写真である。
今朝の写真も、琉夏の部分だけカットして保存したからだ。

「まーた、見てる〜(笑)
仕事しろ!」

「あ…すみません(笑)」

先輩社員・ホリベが声をかけてきた。
唯一、華乃子と琉夏が交際していることを知っている社員。

華乃子が毎日休憩中にスマホを見つめているので、バレたのだ。

「……ったく…(笑)
あ、今週末。
歓迎会だって!
急なんだけど、課長がこの日じゃないとダメって言うの…
あけとけって!」

「あ、はい!」

「はい、仕事!戻るわよ!」

ホリベに連れられ、仕事を再開した。


そしてランチの時間になり、華乃子は会社近くの広場に向かう。

天気の良い日は、ここでランチをしている華乃子。
ここでもスマホの琉夏の写真を見ながら、ランチをしている。

「カッコ良さがぶれないよなぁー、ほんと凄い人……」

「………その凄い人を惚れさす新川さんが一番凄いと思うけど(笑)」

「え?あ、先輩!」

「一緒いい?」

「はい!」

ホリベは、コンビニのサンドイッチを食べながら華乃子のスマホ画面を覗き込んだ。

「でも、イケメン彼氏を持つと大変じゃない?」

「あ、はい(笑)
毎日、大変です(笑)
ドキドキは止まらないし、まともに顔見れないし(笑)
彼、何をしててもカッコいいので!」

「他にないの?写真」

「はい…
ツーショットしか撮らせてくれなくて……」

「ツーショット、撮ればいいじゃん?」

「だ、ダメですよ!!
私のせいで、彼の美しさを半減させます!」

「そうかな?
私は、新川さん可愛いと思うけど!
それにさ!
新川さんが自分をそうやって卑下するってことは、大好きな彼をけなしてるのと同じなんだよ?」

「え……」
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