僕は彼女に絆されている
それから、コーヒーを飲みながらゆっくりしている二人。

ローソファに座った琉夏の足の間に華乃子が座り、後ろから包み込むのが二人のいつものスタイル。

だいたいいつもこのスタイルで二人は寛いでいる。
そしてサブスクの映画を観たり、他愛ない話をしたりする。

しかしこの状態で、別々のことをする時もある。

今日も琉夏はスマホゲームを、華乃子は小説を読んでいた。

「あ!そうだ!
琉夏くん、スケジュール見てくれました?」
小説を閉じながら、言う華乃子。

琉夏と華乃子は、スケジュールを共有出来るようにアプリを利用している。
仕事などで予定が入った時、そのアプリに入れるように決めているのだ。

「あ!ごめん!
見てない!」 

「あ、今週末、歓迎会が入ったんです…」

「そっか…
今週末は、別々か…」

「すみません…」

「ううん。ノコが悪いんじゃないでしょ?
でも……」
ギュッと抱き締めた、琉夏。

「え?」

「お酒、飲みすぎたりしないこと!いい?
ノコはお酒が入ると、益々可愛さが増すからね……」

「あ…はい…!」


「―――――ノコ、もうそろそろお風呂入って寝ようか?」

「はい!
じゃあ…沸かしてきますね!」

「じゃあ僕、煙草吸ってるね」

「はい!」
パタパタ…と風呂場に向かう華乃子を見届けて、ベランダに出た琉夏。

煙草を吸いながら窓越しに中を見ると、華乃子が戻ってきた。
ローソファに座り、スマホ画面を幸せそうに見ていた。

その横顔が綺麗で、琉夏はスマホを構え写真を撮った。

すると今度は、小説を読み始めた華乃子。
微笑んでいた横顔が、今度は険しくなる。
そして切なく歪んだかと思ったら、また微笑む。

コロコロ表情が変わる、華乃子。
見ていて、全然飽きない。

それどころか、目が離せないくらいだ。

琉夏は煙草を灰皿に潰し、中に戻った。
そして華乃子の後ろに座り、抱き締めた。

「んん?琉夏くん?」

「好き…ノコ、大好きだよ……!」
華乃子の頬に、頬を擦り寄せる。

「え…!?//////
な、突然、何ですか!?/////
恥ずかしいですよ…//////」

「僕、ノコのファンなのかも?」

「え?(笑)」

「ノコに心奪われたあの日から、ずっと…ノコに絆されてるから……!」

「ファンは、私の方ですよ?(笑)」
振り向き、クスクス笑う華乃子。

「違うよ――――」
琉夏が華乃子の口唇をなぞる。

自然と華乃子が目を瞑り、二人の口唇が重なった。
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